ホイットモア大統領

人生劇場 飛車角のホイットモア大統領のレビュー・感想・評価

人生劇場 飛車角(1963年製作の映画)
3.5
鑑賞当時は辰兄ィ追悼企画として①

全く知らない作品を選んだつもりだったが、(全部Wikipediaの受け売りですが…)尾崎士郎原作「人生劇場」の一編を映画化したスピンオフの先駆けにして、「やくざ映画」(本作は正しくは「任侠映画」)という呼び名を大衆に認知させた大ヒット作品だったみたい。

例えるなら、今でいうヒーロー映画、それもMARVELよりはDCの『ダークナイト』に近い。
仁義に固く、やくざ者の掟の中でしか生きられない飛車角さんと、その妻おとよの愛と宿命の物語。漂う哀愁の濃度が濃過ぎて、濃霧警報発令するレベル。

本作の辰兄ィは、原作の主人公にして留学帰りのエリート大学生である瓢吉さん役。シュッとした顔立ちにお硬い言葉使いなのが何だか新鮮で、眉毛がキリッが凄い。

兄貴の服役中、その妻と恋仲になってしまい「やっちまったー!!!」となる若かりし健さんも、この頃から既に不器用でした。

クライマックス、女の静止を振り切り敵の渦中に歩みを進める飛車角さんの背中が、遠近法を用いた坂の構図と相まってホント泣ける。男が惚れる男、此処にあり。