踊る猫

アニー・ホールの踊る猫のレビュー・感想・評価

アニー・ホール(1977年製作の映画)
3.6
ウディ・アレンが知性派であることは言を俟たない。そして、この映画でもそんなインテリ好みのジョークや哲学はふんだんに盛り込まれていて、こちらを魅了させもするしやや辟易させもする(私は両方でした)。キーワードとなるのは死と愛だろう。いつ死が訪れるかわからない……それが私たちの人生というものであるし、その非合理に耐えて愛し合いながら生きなければならないというのも人生である。合理的なもの、予測可能なものを突き詰める知性の持ち主であるウディ・アレンにとってこんなにも下らないデタラメさに耐えなければならないというのは、確かに苦痛だろう。そして、その苦痛を生きる上でこのようなスウィートなコメディを生み出したということは確かに瞠目すべきことなのだろうと思う。地味だし、辟易したところは点数を引かせてもらったのだけれど、それでも(個人的に死を思い憂鬱になっていたこともあってか)愛をオフビートに謳う心温まるコメディであることは確かだと思った。才人ウディ・アレン、なかなか侮れない。好みには合わないが。
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