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フェリーニのアマルコルドのRのレビュー・感想・評価

フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)
5.0
VHSで1回、BSの録画で1回、そして、待ちに待った4KのBlu-rayにての3回目。前2回の鑑賞時も、何と魅惑的な映画であることだろう! と思ったが、この度はマジ別格やった! イタリアの片田舎の小さな町に、綿毛の飛来とともに春がやってくる…美しすぎる冒頭シーンから涙あふるる。そこからその町で流れる1年を、フェリーニ独特の語りによって、ゆったりとにぎやかに味わい尽くす、最高に贅沢な約2時間。世界最大の巨匠による最高傑作のひとつでしょう。魔法です。夢です。奇跡です。一応の主役チッタ青年を軸に、家族事情、友人関係、学校の先生たち、同じ町に住む人々、ムッソリーニの台頭するイタリアなどなどが、超ハイテンションで、ユーモアをふんだんに盛って描かれていく。特に前半は、爆笑に次ぐ爆笑! どこの学校にもいる特徴的すぎる教師たちと、それを小バカにする生徒たちの様子がおもろすぎ! 遠く離れた国の田舎町でもおんなじなんやなー。で、年頃の男の子たちの密かな恋、オナニー、目で追っかける尻とボイン。田舎のすっとぼけたハゲオヤジらのオナラネタ&エロネタ。町のマドンナ、かわいらしいブス、気丈なオバハン、色情キチガイ etc...登場人物が全員、どこか懐かしさを感じさせる愛すべきキョーレツさを持ってて、見終わる頃には近所のおもろい知り合いたちみたいになってしまう。特にタバコ屋の店主、サイコーにクール! 一年を通して、いろんなイベントが起こる賑やかな日常のなかで、チッタが経験する大きな喪失。失うという経験を通してひとつまたひとつ成長していくチッタ君。失うことへの切々たる哀感も、さりげなく、ユーモラスに、詩情豊かに綴っていく。じんわりと胸にしみる、しみるけれど、あたたかい。何とも滋味にあふれた、みごとなみごとな語り口、これぞ、まさに、映画マジック! Blu-rayならではの高画質で、季節とともに移り変わる美しい風景を、ニーノロータのノスタルジックな音楽をBGMに、ぼんやり眺める。それだけで幸福感が心の奥からぶわーーーっと溢れてくる! 至福の2時間! もっと見たい!と思わずにはいられない! ホントにホントに素晴らしい! 気取りのない泥臭い人間愛にあふれまくった大傑作! 最後、降り積もった雪が解け、再び綿毛を運んできた春風の吹き抜ける音とともに画面に現れるAMARCORDの文字。シビれた! 歓喜の涙! 全人類が見るべき映画! 一家に一枚。フェリーニのアマルコルド。
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