むぎちゃ

東京ゴッドファーザーズのむぎちゃのレビュー・感想・評価

東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)
4.0
「年末の第九」って日本特有の文化だったのか…。(鑑賞後「年末  第九」でググって初めて知りました)

年末のこの時期に鑑賞できたのはかなり良かった。新文芸坐よ、ありがとう。


いつかの年末、どこかの東京、奇跡に愛された人達の物語。

パーフェクトブルーはかなり好きな作品だったが、こちらは何故か未鑑賞だった。
けどやっぱ面白かったな。

この手の作品の美味しいところは、リアルな街並みリアルな人物が、アニメ特有の不自然さを感じないデフォルメ描写で活きるとこね。

結構感心したのはストーリーの積み上げ方。
シンプルなストーリー展開ではあるけど、最後のサイコ女を暴く展開も、おっさんが一旦パーティーから外れて別行動しないと成立しないし、そのためには病院でケンカ別れしなきゃいけないし、そのためにはオカマちゃんがぶっ倒れなきゃいけないし…。
と、ちゃんと逆算の上に練られた脚本美で良かった。


出てくる登場人物がほぼ全て上手く絡み合うのも、娘や父親と再開する(してしまう?)展開も、ご都合主義と一蹴してしまいそうになるが、ここで活きてくるのがタイトルの「東京ゴッドファーザーズ」。
人がひしめき合う窮屈な東京という街を見事に表現してるじゃん。
その狭い東京で巻き起こるハチャメチャな奇跡を追いかけてるんだよね。
それでもご都合主義要素がゼロかと言われればそうじゃない。ただそれはもう映画の中の物語だからね笑

そう考えるとスーッと腑に落ちるし、エンディングのポップな第九にもとても余韻深く浸れる。
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