むぎちゃ

ボイリング・ポイント/沸騰のむぎちゃのレビュー・感想・評価

3.3
※メモ帳の中でホコリ被ってた感想が出てきました。備忘録


これを観たあと外で飯を食う覚悟はあるか?

以前観たワンカット戦争映画よりも数倍緊張感が漂う異空間だった。

文字通りノンストップで駆け巡るゴタゴタを、多少の箸休めは挟みつつだが、ユーモア無しで突っ切るから余計に緊迫感が続いてた。

ふと思ったことだが、以前ラジオで某パーソナリティが「映画の『ラヂオの時間』はそんな訳ないだろうの連続で興醒めした」(超意訳)と話していたが、人気レストランの厨房で働く人もまたこの映画に興醒めしてしまうのだろうか。
私はファストフード店でのバイト経験があったので伝票を立て続けに読み上げてるシーンは何だがあの頃の緊張感を思い出したが…。


口先だけのアル中ヤク中の駄目人間シェフが周りを翻弄し周りに翻弄される訳だが、主人公に限らずあれこれと問題のある人が多い。
この塩梅が実に奇妙で、「主人公を代表者とした、駄目人間であるがちゃんとしたい、真面目に振る舞うこともある人」「真面目に働いてるのに報われない人」「不真面目を通す人」「軽く働いて普通にエンジョイしてる人」が綯い交ぜになってる。

リアルと言えばリアルかもしれないがこの映画の終わり方も相まって凄く奇妙な配置に見える。

ライバルっぽい出資者も主人公に敵意を見せたかと思えばシェフである事にはリスペクトがあったり…?

前半にあったリスカ云々のシーンはマジで役者魂を感じた。
観客以上に緊張感があったであろう現場で鼻を赤くして泣くなんて…しかも二人同時て…
ある意味この映画の見所のピークかもしれん。


鍋も人間模様も沸騰寸前…いや吹きこぼれのオンパレードだった。
むぎちゃ

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