むぎちゃ

ARGYLLE/アーガイルのむぎちゃのレビュー・感想・評価

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)
4.0
二重アゴが魅力のむちむち女性がスパイアクションの主人公という多様性の権化みたいな映画だったな。

何はともあれもう大拍手もののエンタメしてくれた。ありがとう。
猛烈にぶっ飛びつつも、主人公の小説が現実とリンクしていくという軸のカラクリが紐解かれる展開を、ちゃんと脚本で盛り上げてくれたりとかなり上手い作り。最高。

何者でもない存在の主人公が世界規模の陰謀に巻き込まれるタイプの映画は、大抵そのメインストーリーが絡むまでエンジンかかるのが遅くなりがちだけど、これは小説の中の劇中劇がそこを盛り上げてくれて上手いことバランスを取ってる。

アクションもマシューヴォーン×スパイアクションというお墨付き。
息をつかせぬアクションの中、逆に文字通り息をつかせてくれるユルさを挟んだりするのも好き。
原油スケートの格闘シーンなんて最たる例だしもはや感動もの。
最初は「トランスポーター」で既にステイサムが通った道だけど大丈夫か??と思ったが、そうだこういう作風だったんだと一本取られた。
モブとかもう切られるためにそこにいるじゃんなんて無粋なツッコミはなしですぜ。

んで何よりその手前のカラフル煙幕の中舞い踊る恋ダンスですよ!あんな愛情表現があるとは!
惜しむらくは多用してたスロー演出をもう少し抑えて欲しかったな。もっとスピーディなハチャメチャ度合いも観たかった。
あの二人では難しいかもしれんけど笑

で、惜しむらくはで言うと、最後の殴り合いは完全に蛇足オブ蛇足だったのが本当に残念。散々バカやってきたのにシリアスな殴り合いなんていらんのですわ。何より長いし。
愛する人を手にかけるくらいなら死を選ぶ葛藤を表現したいのは分かるけど、何回オルゴールババアに向かうのを阻止され向かっては阻止されを繰り返すんじゃ。殴り合い自体も微妙に見応えがない。

ただ記憶違いかもしれないが、彼女が最後の最後で頭を踏み潰さなかったのはオルゴールが壊れる直前だったような。
だとしたらオルゴールという直接的な洗脳道具が壊れたからではなく、彼女の愛が洗脳を打破したはずで、それはかなりアツい演出だし、何より愛の力で自我を取り戻すためだったのならあのスパンもまあ納得。そうであれ。


そしてエンドロールね。
マシューヴォーンでしよ?んでスパイ映画でしょ?つまりそういう事でしょ!!!と待ってましたな展開!第一巻映像化希望!笑
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