むぎちゃ

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーのむぎちゃのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

全く関係ない作品だが、「手紙は覚えている」が何となく思い起こされた。
要は本来善人であるはずのキャラクターが中盤で人を殺めてしまったら、まぁそりゃめでたしな終わりにはならんわなーと。


最後の最後で主人公と見知らぬ生者が対峙する描写は蛇足だけど(もうその手前の病院の時点で観客は理解してるし)、そこに至るプロセスはかなり丁寧に積み上げられてる印象。

けど逆に言えばその最後のシックスセンス的展開が訪れるまで、(正確には主人公が少年を連れ去る辺りの一気に展開し出したクライマックスまで)はちょっとダルい。
バスに乗り込んだとことか、あの程度の情報だったら電話で聞きなさいな。


大前提なんだけども、欧米人若人の火遊びドンチキ騒ぎ大好きさは30代中盤日本人には1ミリも共感が出来ないので、ずっと引いてた。
主人公も周りもバカしかおらんのけ。

ただ降霊術っていうホラーの定番設定とこの辺のキャラクター設定が重なるのは自分的には目新しかった。
さらに憑依している状態がある種の快楽になってるとか、マジでどうかしてるぜ。

目新しさで言うと、あの状況設定だと、「母を亡くした主人公が降霊術で母と再会、何やかんやあって母の死を乗り越え、冷めていた父娘の関係が氷塊する」…が、ホラーであっても所謂ベタな展開だと思うし、観客もその辺にアンテナ立てそうだけど、完全に裏行ったな。
最後まで主人公は霊に誑かされてしまったし、その状態で父親まで手にかけてしまったと。

その要因は序盤に意味ありげに挟まれてた瀕死の鹿にありそう。
要はあれで主人公は「死に向き合えない人間性」である事が明確に説明された訳で。
案の定降霊術で降ろされた母を名乗る亡霊に固執し少年の安全を蔑ろにしたし、その後も唆されるまま行動してしまった。
(母を名乗る亡霊と書いたけど、あれが本当に母の霊だったのかって確証される描写はなかったような…どうだったっけ?)

運が悪かったと言えばそれまでだが、不安定な主人公の描写で、ある意味ラストへの下地は出来ていたのかも。

ちょっとだけのつもりの「火遊び」も、大炎上してからじゃ遅いんですぜ。
むぎちゃ

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