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ロボコンのsoのレビュー・感想・評価

ロボコン(2003年製作の映画)
3.5
テレビで「ロボコン」ことロボットコンテストがやっていると、つい見てしまう。
10代半ばの彼らがすべての情熱を注いで作り上げたロボットの多種多様な姿や、それらが繰り広げる試合の息を飲む展開の面白さもさることながら、何といってもぐっとくるのは選手達の顔。勝手な想像だが、きっとコミュニケーション下手で運動も苦手で異性にもモテずいつも日陰で孤独に一人すごしていたような彼らがロボコンで1年に1度脚光を浴び、勝っては仲間達と抱き合い、負けてはメガネをはずして涙を拭く。そんな彼らの姿に、甲子園などとは違う、ある意味もっと切実な青春の願いを垣間見るような気がして、胸がしめつけられるのだ。

自分は学生時代ずっとバンドを続けてきた。バンドなんてそもそも青春を謳歌できない日陰者がやるようなものだが、それでもそんな同類の者が集まって楽しそうにサークルとしてわいわい音楽をやっているのを心底軽蔑していた。この映画で集団に嫌気がさし一人黙々と設計に勤しむ才能溢れる航一と自分は立場が違うのだけど、それでも、仲間意識と馴れ合いの分別ができず、ここで笑ったらここでやさしくしたら、自分の目指してる場所には辿り着けないのではないかと強迫観念的に思ってしまうような、頑なに周囲との間に距離を保とうとしていたあの頃の自分を、航一の冷たい言動を見て思い出してしまった。

青春に慣れてない者の青春っていいものだなと思う。
青春を知らない日陰者達が集まってぶつかりあって、罵り合って、だめになって、それでも一瞬ふと俺たちは全員同じ方向を向いているのだ、と感じる時があって。そんな瞬間を積み重ねながら、最後、理性を飛び越えて本能で抱き合うならば、そんなに美しい青春は他にない。

地味になりそうなロボコンを扱いながら、登場人物全員キャラが立っていて、特に天真爛漫な主人公演じる長澤まさみと、繊細さと野心を兼ね備えた航一演じる小栗旬がハマっていた。
大々的には映されないものの舞台である山口県周南市の都会でも田舎でもないちょうどいい背景もまた良かった。
まさにシンプルイズベスト!な青春映画。
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