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パリ、ジュテームのkoyaのレビュー・感想・評価

パリ、ジュテーム(2006年製作の映画)
4.5
私は特にフランスに特別な思い入れはないのですが、まぁ、「ふらんすにいきたしと思えど・・・」と謳った詩人もいたことだし、フランスというのは一種の憧れなのかもしれません。

そんな気持でこの映画、期待してみると全然違うものだと思うのですね。
世界の18人の監督が5分ずつ、パリの各地域の名前をとった短編が綴られる映画です。
それは、フランス人だけでなく、外国人から見た奇妙なフランス、だったり、移住した他民族から見たフランスだったりするからです。

コーエン兄弟の「チュイリー駅」などはアメリカ人観光客、スティーブ・ブシェミの「ガイドブック通りにいかないパリ」であり、クリストファー・ドイルが描くのは、中国系の人たちがたくさん住むパリ・・・だったりします。
「エッフェル塔」という短編もあるのですが、『地下鉄のザジ』でエッフェル塔を登っていくと、途中に寒さでふるえるシロクマがいた・・・っていう不可思議なシーンを彷彿させる不思議さがありました。

キレイキレイな観光映画ではないけれど、ここまであちこち撮られる街というのもいいもので、パリだけでなく、どこの都市でも作れそうなアイディアです。

 ラストの5分が好きです。
アメリカ、デンバーで郵便配達をしている独身女性が、ひとりパリの街を歩く。ひとりでホテルに泊まり、ひとりで食事をして、街を歩く。
そして、この街で郵便配達したいな・・・って思う。
その時、わたしはパリを愛し、パリもわたしを愛してくれたのだろうと思う・・・・それがこの映画のタイトルの由来です。
旅行した時に、その土地を愛するだけでなく、その土地から愛されている・・・と思うことがあるだろうか・・・そんなことを思いました。
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