スワヒリ亭こゆう

アウトレイジ ビヨンドのスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

アウトレイジ ビヨンド(2012年製作の映画)
4.6
前作「アウトレイジ」の続編なので、ストーリーは続きになっていますが、ストーリーの構成は全く別の映画になってます。

北野武監督の映画ってバイオレンスばかりが取り上げられますが、基本的には四コマ漫画(起承転結)の連続で成り立っているんですよね。
例えば前作でいうと
①路上でシャブを売ってるやつを見つけて拉致る。
②拉致った奴から大使館で治外法権をいいことにシャブをやらせてる情報を聞きつけ、黒人の大使に大使館でカジノをやらせろとおどす。
③嫌がる黒人大使の弱みを握るため、ハニートラップを仕掛けて睡眠薬を飲ませ、目が覚めると隣に女の死体がある。眠ってる間に女を殺したと脅し後始末をして恩を売る。
④大使館でカジノを開く事に同意するが、カジノで黒人の大使はハニートラップを仕掛けた(眠ってる間に女を殺したと思わせる)女を見つけて、罠にはまった事に黒人の大使は気づいた。

このように四コマ漫画(オチは笑いとは限りません)のように作ったストーリーの連続で成り立ってるんだと思うんですよ。

ですが「アウトレイジビヨンド」は上記の構成ではなくて、一本のストーリーで成り立ってます。
映画自体は面白いし、スカッとする復讐劇は凄く面白いです。

ビートたけし演じる大友をはじめとした俳優陣が凄く良かったですよ。
小日向さんなんてまるで黒沢映画の「用心棒」みたいでしたし、塩見三省さんは「あまちゃんの勉さん」はどこに行ったのかと思うくらいに本職っぽかったです。

小日向さんと松重さんが山王会のチンピラを取り調べするシーンはめちゃくちゃ笑えます。
何かって言うと腹やられるのも面白いです。

とにかくテンポの良さは北野映画の中でも随一であっという間に見終わっちゃいます。
そのテンポは先程、書いた通り4コマ漫画の連続性を得意とする北野武監督ならではです。

『アウトレイジ』シリーズの中でも観やすさは一番かもしれないです。
僕も1作目と本作は迷うぐらい好きな作品です。