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新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君にのOtoのレビュー・感想・評価

3.7
アニメ版しか観ていないので予習開始。どの順番で観ていいのかわからないし、調べてもオタクによって言うことが違うという『Star Wars』と似た面倒臭さがあるけど、全部はみる時間なさそうなのでこれからみた。

『DEAT (TRUE) 2』は、アニメ版を観た人向けの総集編という印象で、いきなりこれを観るとトラウマになりそう。異常なテンポ感と飛躍のある編集で素材をつないでいるので、「いまエヴァをみているな〜」という感覚がすごくあった。テキストなんて0.1秒くらいしか表示していないけど意外と読めるな〜とか、もはやMVというか、知覚の研究実験のような感覚すら覚えた。

名場面がハイライトされていてやっぱり面白いな〜と思い返せた。おかえりただいま、笑えばいいと思うよ...。だれかが「エヴァはフリーランスの話。なにかの才能を持ってしまったがために普通に生きられない辛さを抱える人々」と言っていたけどそれだな〜と思った、周りから見たら恵まれた人にもその人だけの辛さがある。

それにしても片腕が人の状態で使徒をムシャムシャ食べるロボットとか、友達と戦わせて流血させてぶちのめして後からそれを知らせるとか、常人には描けないと感じるものがすごく多い。チームで論理的に詰めていったら絶対にこうはならないと思うので、創作における個人の狂った変態的な衝動の大切さを思い知らされる。

シト新生の『DEATH & REBIRTH』のDEATH編を再々修正したとあるけれど、どう変わったのかはいまいち把握していないのでプロの方々に聞いてほしい。学校の四重奏でパッヘルベルのカノンを演奏するシーンが足されていた。

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『Air/まごころを、君に』25,26話のリメイク。
TVシリーズよりは視覚的に表現されているけれど、相変わらず自分の処理できる情報量を超えていた。
ATフィールドが自他の境界というのは発見。必要とされたいけれど、一緒になるのは怖い。いつか失うかもしれない。だから嫌われる前に自分の方から嫌いになるという決断をしてしまうのは自分もやっている。
性にフォーカスするシーンが多いけれど、身体だけでも必要とされたいとか、自分の欲望を全て包み込んでほしいとか、それも自分の存在意義と深く関わっていることだなぁと思った。ゲンドウが綾波に拒絶されるシーンも象徴的で、シンジだけの罪ではない。。『パプリカ』にしてもだけど、巨大フェチってあるんだなぁ。
当初は「あんたなんかに殺されるのはまっぴらよ」という台詞だったらしいけれど、「気持ち悪い」ってめっちゃいいな。異質で理解し合えないものをそれでも認めて同居していく世界。
この世界は生きるに値するのか?というテーマを実写パートから感じ取ったけど、現実を生きる人たちにとっても夢の中にしか幸せはないのかもしれないとすらおもってしまう。みんな認められたいし、自分が生きている形跡を残したいけど、じゃあ他の人と本質的に違う何かを持っているかと言われるとわからないし、大切な誰かにとって替えのきかない存在であるかとか、そうなのだとしたらその要素は何かって証明はできない。
「誰ひとりきみの代わりはいないけど上位互換が出回っている」はつまり「いつまでもそこで苦しまなくていいきみの代わりはいくらでもいる」であって、逃げてもいいんだろうな。
https://twitter.com/unonazuki/status/941150051841204224?s=20
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