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マイ・レフトフットの一のレビュー・感想・評価

マイ・レフトフット(1989年製作の映画)
3.9
ジム・シェリダン監督長編デビュー作

実在する脳性小児麻痺の画家クリスティ・ブラウンの半生を描いた伝記映画

生まれながらの重度の脳性小児麻痺により、左足が少し動かせるだけで、後は植物人間同様の生活を余儀なくされている不遇の主人公が、わずかに動く左足を使い絵を描けるようになるまで成長していく姿を描く

物語に大きな起伏があるわけでもなければ、誰もが涙するというようなお涙頂戴シーンがあるわけでもないんだけど、じわじわと沁みてくるこの感覚は素晴らしい映画に出会えたなによりの証拠

あくまで重たい障害を持つ主人公の半生を描いているだけであって、安易に障害者を主人公にしてベタな感動を煽り、頑張る障害者!のような押しつけがましい感動ポルノは何一つないのも非常に好印象

重たい障害があるからといってもひとりの人間で、恋だってするし嫉妬もするし、その結果自暴自棄にだってなる
それでもユーモアも忘れないし、その愚直ともいえるほど真っ直ぐな表現方法がまた絶妙に琴線に触れてくる

たとえ貧しくても生活はかけがえのない愛に溢れていて、温かい兄弟や周りの人々の支えなどの人と人との触れ合い、そしてなんといっても母親の逞しさは胸に来るものがある

なにより、第62回アカデミー賞でダニエル・デイ=ルイスが主演男優賞、ブレンダ・フリッカーが助演女優賞を受賞した作品ということで、言うまでもなくお二方とも圧巻のパフォーマンス
特に脳性麻痺という非常に難しい役を、『オアシス』のムン・ソリと重なるようなストイックな役作りでそつなくこなしてしまうダニエル・デイ=ルイスは、映画史に名を刻むどれほど偉大な役者であるということがとてもよくわかる作品でもありました
子供時代のクリスティを演じた子役さんも、彼にとてもよく似ていたのも印象的

〈 Rotten Tomatoes 🍅98% 🍿92% 〉
〈 IMDb 7.9 / Metascore 97 / Letterboxd 3.8 〉

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