円柱野郎

大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオスの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ガメラシリーズの第3作。 富士火山帯の異常活動によって目覚めたギャオスが人々に襲い掛かる。
ギャオスと戦う人間やガメラだったが、ギャオスの放つ超音波メス攻撃は強力だった。

中央自動車道が建設中というのが時代を感じさせるところだが、用地買収や建設工事反対運動といった社会風刺も取り入れていて、テーマ的には硬派な印象もあるかな。
そういった風刺的なテーマの一方で、子供がギャオス対抗策に頭を悩ます大人の横でヒント与えるなど重要な役割回りになっていたりと、子供目線でも入りやすいバランス感覚は悪くないと思う。
ギャオスの超音波メスで走ってる車が左右に真っ二つになって片方だけで走ってる描写は、さすがに「マンガかよ!w」って感じだけど…そういうサービスも子供目線ではいいんじゃないかと思うw
監督は1作目を監督した湯浅憲明に戻ったこともあるだろうけど、ガメラがガメラの意思で子供を助けたとする行動も明確に描かれ、昭和ガメラの性格が形づけられていく部分はハッキリ見えるね。

主演は前作から引き続いて本郷功次郎で、ただし役は別人の道路建設作業監督者・堤。
ギャオスの目撃者とはいえ、道路公団の人間なのにギャオス対策の施設建設で活躍する流れは…なし崩しだとしてもなんかよく分からんが、まあツッコんじゃいけないか。
堤はキャラ的には実直だし嫌味もないのだけど、逆に言えば印象は薄い。
むしろ堤の部下にいる太めの丸井太郎(マイトの熊役)や関西弁の螢雪太郎(八公役)の方がコメディリリーフ的でキャラの印象は強いかな。
(ちなみに丸井太郎は、五社協定による大映からの不遇な扱いに絶望して本作の公開年に自殺された役者さんです…。)

元々本作の企画段階ではガメラと戦うのはドラキュラをモチーフにした怪獣だったということで、ギャオスはその辺のプロットの形跡が多いに残ってる感じ。
コウモリの様に空を飛び、夜行性で日光に弱く、血の臭いに引き寄せられたり。
さすがにドラキュラは超音波メスを放ったりはしませんがw
それにしても三角形で真っ平な頭や鋭い三白眼の頭部は、あらためて見るとすごいデザインだよなあ。
めっちゃインパクトあるもんね。

ガメラもギャオスも空を飛べるので、そういう意味で空中戦が展開できるのはゴジラ映画との差別化の意味では強みだと思う。
とはいえ陸や海の方に地の利のあるガメラの性格上、空から降りての戦闘場面も多いわけですが。
まあそこはそれ、ガメラとギャオスの戦闘スタイルの違いも良く出ていて面白かったと思いますよ。
あいかわらず怪獣の流血シーンがたっぷりなのは、血が赤くないとはいえ子供に見せるにはちょっと残酷かな…てなことを思うのは多分当時の人たちとは違う感覚なんだろうね。
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