しんご

戦艦ポチョムキンのしんごのレビュー・感想・評価

戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)
3.5
あまりの待遇の悪さに怒りが爆発した戦艦ポチョムキンの水兵達がストライキを敢行。悪魔の様な上官を殺害し反乱する、というお話。

1905年に始まったロシア革命20周年を記念して製作された紛れもないプロパガンダ映画だが、そんな政治的要素を軽く越えたスペクタクル娯楽。

大学で映像論なる科目を専攻していたとき、「モンタージュ技法」を習った。例えば泣いている女の人の映像がある場合、その直前に「棺に入った父の遺体」のカットを挿入するとその後の映像は「身内の死を悲しむ女の人」を意味していると客は理解する。全く別のカットが意味を持って連続するという映像表現だ。

この技法が本作では存分に使用されている。ウジの湧いた食事にキレた水平達、全速力で走る船の機械部...と、とにかくストーリーにテンポと緊迫感を与え続けているからサイレント映画なのに全然飽きない。現在では当たり前過ぎる手法は100年前から既に行われていたんだね。

特に、「映画至上最も有名な6分間」と形容される「オデッサの階段」のシークエンスはまさにモンタージュの本領発揮で今観ても圧巻の一言。子供を撃たれたお母さんの悲痛な顔のアップからの人々に踏まれまくる子供のカットがたまらなく辛い。ちなみに、乳母車が階段落ちするシーンは「アンタッチャッブル」(87)の駅での決戦シーンでパロディ化されている。

まさに映画史の教科書と言える作品。
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