R

ミスティック・リバーのRのレビュー・感想・評価

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)
4.5
とんでもない映画でした。何て救いのないストーリーだろうか。ジミーとショーンとデイヴの仲良し3人組がストリートで悪さをしてるとき、そこにやって来たふたりの警察にデイヴだけが連行さるんやけど、実はそいつら警察ではなく変態で、デイヴは数日監禁状態でレイプされたのち、そこから何とか逃げ出した。その後、大人になった彼らはバラバラになってしまっていたのだが、ジミーの娘が何者かによって殺害されるとこから、大変に複雑なメインのテーマが展開する。一体、ジミーの娘を殺したのは誰なのか…。前半は、ジミーのあまりにも深い悲しみと憤りを迫真の演技で体現するショーンペンと、ずっと晴れることのない闇を抱えながら生きるデイヴを演じるティムロビンスの演技がすごすぎて、ふたりの悲惨さに圧倒されつつ、ケヴィンベーコンの思いやりに癒され、ローラリニーとゲイハーデンの見事な奥さんっぷりの表現に魅了。演出はさすがイーストウッド。派手さも技巧的な面白さも全くないのに、ストーリーにすーーっと入り込み、気づけば没頭、長い時間まったく飽きさせることなく見入ってしまう。こんな渋い演出する人、他になかなかいないよね。演出が抑制されてるからこそ演技が際立つのでしょう。前半、ひとつだけ、かなり変わった音楽の使い方してて、えっ、てなるシーンはあったけど。もっかい見たら普通に馴染むのかな? ま、いーや。ほんで、後半は、ミステリーと疑惑がどんどんヒートアップしていき、少年時代と同じ闇がふたたび彼らの関係を支配し……で、まぁちょっと想像を超えたひどいひどいエンディングにゾゾゾッ。ラストシーンのゲイハーデンの演技ヤバすぎ! 人間は、人を責めるとき、その根拠を、理性に基づいて完璧に明らかにしてからでないと、取り返しのつかないことになってしまうよ、ということをこんなに感じさせるお話はないと思う。後味は悪いけど、かなり好みのテーマだった。また見たい。
R

R