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マリー・アントワネットのtjZeroのレビュー・感想・評価

マリー・アントワネット(2006年製作の映画)
3.7
18世紀後半。オーストリアからフランスに嫁いだ王妃を描く。

ヒダヒダやフリルや曲線だらけの、ロココ調の豪奢なヴェルサイユ宮殿の内装を見せられても、「掃除が大変だろうなあ」とまず思っちゃう、自分のような無粋な観客にとっても、充分楽しめる作品だった。

両国の同盟を守るため…という美名のもと、結局求められるのは”産む機械”としての役割。
後継ぎが遅れれば、中傷や陰口が渦巻き、王朝での立場も微妙に。
ようやく産んでも、着替えや授乳といった個人的行為でさえ、己で行なうことを許されない暮らし。

マリーが派手なファッションやスイーツやギャンブルにおぼれるのも、仕方ないと思える。共感できる。
ああやって少しでも発散できれば、わが国のプリンセスも心を病むことは無かったかもしれない、とか思ったり。

ソフィア・コッポラ監督作は、『ロスト・イン・トランスレーション』と『SOMEWHERE』と本作しか観ていないんだけど、共通するのは「恵まれた境遇に見えるけど、実は孤独な主人公」ってトコロかなあ。
『ロスト~』は異国で独り、『SOME~』は世界を巡っても独り、『マリー~』は宮殿の中ですら独り。

深読みなんかしなくても、ソフィアの境遇と比べてしまう。
あの”フランシス・F”の娘だから、経済的にも芸術的にも最高級の環境だったはず…だけど、やっぱり彼女も孤独だったのだろうか。

雅子さまにもぜひご覧になって頂きたい作品だった。
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