グリフィン

終着駅のグリフィンのレビュー・感想・評価

終着駅(1953年製作の映画)
4.5
初見。字幕。
男女の別れ際を描かせたときのヴィットリオ・デ・シーカ監督は強い。「ひまわり」もそうだけど別れ際の気持ちが揺れ動く様に哀愁がある。

最初は気まぐれの火遊び的感覚だった不倫、その別れを描く。

舞台は冒頭を除いてずっとフランスのとある駅の構内。
”別れ際だけを描く”
というところが非常に詩的というか、素晴らしいポイントではと俺は思う。2人の出会いや情熱的恋愛は言葉で語られるだけで特に描写はない。でも言葉には重みがあってその光景はちゃんと思い浮かぶ。別れの切なさをしっかり際立たせてくれるんですよねえ。それが良い!
あえて別れ際だけというのが趣深くて俺は好きですね。

恋の執着もあり、人生に対するケジメ・覚悟などもあり。様々な感情が押し寄せてくる切ない別れ。

終着駅にはこの2人の他にも様々な人生模様がある。その人生模様が交差していく展開も見どころです。
警察署長の計らいは粋でしたね~ここは余計な言葉はいらない。察してあげるという配慮が何より心に響く。憎いことしよるわ。

体調を崩してしまった妊婦さん。思わぬ出会いが運命を左右するきっかけになるかもしれない。そんな感じがしたなあ。ここで覚悟の強さは相当なものになったに違いない。

最後、うつむきながら歩く男の姿を遠くで横からとらえた場面。終わりを迎えてしまった虚しさがひしひしと表れていた。ここも絵になるよなあ~

ヴィットリオ・デ・シーカ監督、渾身のメロドラマでしたね。おもしろかった!
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