グリフィン

西鶴一代女のグリフィンのレビュー・感想・評価

西鶴一代女(1952年製作の映画)
4.3
鑑賞2回目

時代と男に翻弄され続けた女の物語

不幸の運命を背負ってると言わんばかりの人生が描かれます。お春は時代の価値観の先を行く女性だったように思えます。だからこその不幸が襲いかかる。余計に悲しいですな。
まことの愛を欲していただけなのに・・・

身分の差こそが絶対的な時代、男が権力を持つ時代、少しでも色気を匂わせようものなら蔑まされる時代
時代の描写が上手い。さすがは溝口健二監督。淀んでる空気感と言いましょうか、とてもリアルです。言葉遣いや建物など、本物を見てるみたい

これほどまで不幸な人生を歩んだら時代や男を憎んでもおかしくないものだが、お春に憎しみの感情はないように見えた。全てを悲しみで包み込み、そして転落していく。そんな風に思えた。
凄まじいなあ。

最初に観た時はそこまで面白いと思わなかったが、2回目はだいぶ違ったなあ。色々と滲みるものがある。
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