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マッドマックス2のryosukeのレビュー・感想・評価

マッドマックス2(1981年製作の映画)
3.9
二大国の戦争後の荒廃した世界が舞台となるポストアポカリプスものであり、本作公開の二年前のソ連のアフガニスタン侵攻により、いわゆる新冷戦へと突入した世相も反映されているのだろうか。
ドッグフードが妙に美味しそうなのが記憶に残る。
歪な印象の前作から明らかに完成度は上がったが、そのハイテンション具合は全く衰えていない。そんな激しい熱気に包まれた世界でありながら、主人公のマックスだけは生きた者とは思えぬ虚ろな雰囲気を醸し出し、終始どこか達観した振る舞いをするのが異様なギャップを生み出している。
紫の空の下、砂漠の真ん中に位置する要塞化した石油精製施設を車が取り囲んでいる描写など相当素敵な画で、先に「怒りのデスロード」を見ていなければこの世界観はかなりインパクトがあっただろうなあ。しかし、後追い世代としては、本作も良いけど「怒りのデスロード」は大成功だなということを再確認してしまったりもする。
幾重ものオーバーラップで表現されるヒューマンガスのハイテンション処刑シーンや、ブーメラン使いで獣のような鳴き声を出し、穴から穴へと自由自在に移動するキャラ渋滞の少年が素敵。
車の前に捕虜を縛り付けるのは「怒りのデスロード」でもきっちり引き継がれていたな。
要塞爆破シーンは、火薬は多ければ多いほど良いというアホの法則(褒め言葉)に忠実で素晴らしいね。
やはり延々続くタンクローリーのチェイスシークエンスが一番熱い。前方から突如飛び出してくるモヒカン男はビビった。この辺りは前作のホラー演出が踏襲されている。
一切人の言葉を話すことがなかったはずの者が実は語り部であったというオチと、荒野に消えていくマックスの神話的な姿のラストが良い締めだった。
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