謎の猟奇殺人、
偶然にも豪雨により
モーテルに閉じ込め
られた客がまた
一人、殺されていく…
スラッシャーホラーの皮を被った
良質なミステリーサスペンス!
「アイデンティティー」
ストーリーは上記そのもの。正にホラー映画の筋立てであるものの、全く違うものへと昇華していく、上質なミステリーサスペンス。正にこの手があったかと膝を打つ鮮やかさ。全く予想だにしない結末に驚かされた。
実際、スラッシャーホラー的な展開を見せるものの、ミスリードの仕方、伏線の貼り方が巧みで、よしんば犯人は予測がついても、その不条理な展開に動機を含む全容が最後まで見えず、楽しめる。
また見事なフーダニットでありながら、それすら凌駕する全容が開示され、パズルピースがハマるとき、これはヤラれた…としか思えない。またその後の展開もまた秀逸。
わずか90分、ほぼモーテル内で起こる事象と死刑囚の精神鑑定を要望する弁護士と判事の会議シーンのみで展開するシチュエーションスリラーであり、プロットのアイディア、脚本の見事さを褒める以外にない。
ジョン・キューザックやレイ・リオッタなど癖がある俳優を集めていて、如何せん地味な印象を受けるが実はそれがいい…。またこの題名の理由が分かる時、この配役の意味も分かる…。
そもそも、このスラッシャーホラーの様なプロットを知っていたため、避けていた作品だが、中身を知れば、なぜ今まで見なかったか後悔するレベル。監督はジェームズ・マンゴールドであり、後に西部劇の近年の傑作3:10決断の時やトム&キャメロンの娯楽大作ナイト&デイ、X-MENの佳作ローガンを撮った近年のヒットメーカーが初期に放った秀作。最近よく見ているので手にとったが、これが1番面白い。ミステリーサスペンスファンには是非オススメしたいですよね。