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敦煌のHKのレビュー・感想・評価

敦煌(1988年製作の映画)
3.0
井上靖原作の歴史小説を「新幹線大爆破」「野性の証明」などの佐藤純彌監督が実写映画化。日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作品。キャストは佐藤浩市、西田敏行、中川安奈、三田佳子、渡瀬恒彦など。

北宋時代、科挙の最終試験である殿試を受けたものの、西夏対策を答えられず失敗した男趙行徳は、自暴自棄になっていたものの、婦女暴行を受けていた西夏の女性を助け、その際に西夏文字を見せてもらい、西夏に興味を抱き、西に向かって旅をする。

砂漠で過酷な旅を送っていたが、道中西夏軍の漢人部隊に捉えられる。しかし文字が読めることが幸いし、隊長朱王礼の計らいで書記として仕える。辺境の地だと思われていた西夏はシルクロードの拠点として栄えていました。

西夏軍がウイグルを攻略した際に、ウイグルの王女ツルピアと行徳は恋に落ちます。しかし、西夏の王李元昊の命令により首都での留学が決まりました。

無事に一年間留学したもの、恋人ツルピアは李元昊の政略結婚の道具とされ、結婚式で暗殺しようとするも失敗、そのまま投身自殺をする。留学している間に恋に落ちた隊長の朱王礼は李元昊の暴政に怒り反乱を企てる。

そして、様々な巻物や典礼など文化的価値のあるものが揃っている敦煌府で戦禍の火ぶたが切られる。行徳はそこで保管してある様々な教典や書物や美術品を守ろうと莫高窟へ持ち運ぼうと奮闘する。

う~ん、この映画、規模やスケールこそすごいものの、あまり心に来るような作品ではありませんでした。正直言って退屈でした。

やはり、歴史的考証云々というより、映画における材料の質が問題なのかもしれません。特に、キャスティングです。佐藤浩市さんなど、日本人キャストで構成されていますが、舞台は一応中国大陸です。これまでの作品では何度も外国人の俳優をキャスティングした佐藤純彌監督にはこの映画でもちゃんとその舞台に合わせて外国の俳優さんにキャスティングさせれば良かったのではないかと。

そして、いちいち佐藤浩市と中川安奈がいちゃついているシーンとかに長尺で入れすぎ。こんなところに力入れるなら普通に後半の合戦シーンを際立てるためにもうちょっと短めにすればよかったのに。

別段映画におけるカタルシスもそんなになく、ツルピアの投身自殺もさしてインパクトに残らなかったが、敦煌太守が終盤発狂したり、見捨てた柄本明が喋らなくなったりする演出は良かったんじゃないかな。あそこにもうちょっと力を入れてほしかった。

しかし、絵的なインパクトはどこにもない。合戦シーンこそ迫力あるものの冗長に感じてしまう部分も多々あり。上映時間をもうちょっと短めにすればよかったかもね。

ですからあまり好きじゃないのでお勧めしないです。一回みれば十分です。
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