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ラ・ポワント・クールトのHKのレビュー・感想・評価

ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)
4.2
『5時から7時までクレオ』『幸福』などのアニエス・ヴァルダ監督のデビュー作。キャストはフィリップ・ノワレ、シルヴィア・モンフォールなどなど

南仏の小さな漁村を舞台に生まれ故郷に帰ってきた夫と、パリから追ってきた妻の恋の終わりを描く。

ヌーヴェルヴァーグの原点だとか、開幕を予兆させた作品として名高いアニエスヴァルダの一作。個人的にはすごい見ていて映画的な生き生きとした空間を楽しめて良かったと思います。

物語なんて有って無いようなもので、あまり覚えていないくらいなのですが、漁村の河岸で行われる人々の機微だとか、橋とか棒を動き回るネコちゃんだとか、風にたなびく洗濯物だとか、異様な動きをするナマズなど、視覚的にすごい瑞々しく生き生きとしている生命力あふれるような被写体で溢れていた作品でしたね。

それでいて、演じてるフィリップ・ノワレなどもあくまで自然体で演じてるために、よりそこには後年のヌーヴェルヴァーグが達成しようとした映画的リアリズムというのがあふれていました。流石、ヌーヴェルヴァーグ南派でドキュメンタリー畑出身のヴァルダだけありますね。

映画内でキュビズムというのも取り入れたのもこれまた斬新で、お互いに別れようとしている二人の意思のすれ違いを表すように、彼等が全く異なる方向を向きながら直立していてそれが交差する場面をショットで撮っている。こういう絵画的な趣もすごい個人的にははまれましたね。

劇中では他にも線路の分岐点部分を移動する場面とか、他にもどっかの船体の中で太陽光に当たる所のショットとかはライティングとかも含めて、なんか現実世界なのに異界に飛んでいってしまったような感覚を受けましたね。

最後には船同士が共にぶつかりあって乗員が落とした方が勝ちという祭りみたいなのをやってまして、あそこもとても良かったですね。

非常に静謐観に溢れながら、どのショットもカメラマンでもあるアニエスヴァルダの決まったショットを堪能することが出来るすごい見ていて見心地が良い作品でした。

いずれにしても見れて良かったと思います。僕としては漁村の河岸で人々と動物や魚たち、そして川が生き生きと映っている作品は大好物なのですごい見れて良かったですね。アニエスヴァルダの作品をもっと見てみたいと思いました。
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