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なまいきチョルベンと水夫さんのHKのレビュー・感想・評価

3.8
『ピッピ』シリーズなどのオーレ・ヘルボム監督によるスウェーデン映画。キャストはトルステン・リリエクローナ、ルイーズ・エドリンド、ステファン・リンドホルムなどなど

スウェーデンの避暑地のウミガラス島で、大人もたじたじになるような毒舌を吐く生意気ながら愛らしい少女チョルベンとそのパートナーでセントバーナードの水夫さんがいた。ある日、漁師の人がチョルベンに網に引っかかってたアザラシを上げると知って喜び、その子をモーゼと名付けたが。

スウェーデン映画も中々見たことが無かったのですが、ピッピシリーズなどで愛らしい作品も作っていたんですね。70年代のスウェーデン映画とかの印象しかないので。

やっぱり自然豊かな田舎町で動物たちと触れ合いながら和気藹々と過ごす映画は溜まらんですね。それでいて日本映画とかだとよくある変なメッセージ性もなく見られる。

それでいて、決して平和的な展開のみではなく、ここぞではウサギちゃんがキツネに殺されてしまったりする弱肉強食の自然の怖さと、疑いをかけられた水夫さんが殺されそうになるという村社会の怖さというのもさりげなく入れるのも見事でしたね。決して平和ボケした世界を映している訳ではなく、残酷な世界もしっかりと投影している。

それでいて、河岸のショットとか夕焼けのショットとかが今見ても素晴らしいほどに綺麗ですよ。特に夕焼けでシルエットとなったキツネとかのショットとか幻想的で素晴らしかったですね。

何よりもアザラシや犬やウサギやキツネなどをあそこまでしっかりと生き生きとしたショットで描いてるのも良かったですね。CGとはまた違って新鮮味を感じます。

物語もあくまで平和的なのですが、会話の節々は子供視点からの汚い大人たちへの皮肉が詰まっていて、いかにもヌーヴェルヴァーグ的にも見えるのは時に大人社会に苛つく自分のフラストレーションを解消してくれる。

いずれにしても見れて良かったと思います。やっぱりチョルベンみたいなタイプの女の子もいいですね。個人的には汚い事をやってしまう漁師のベスタマンも人間臭くて好きですね。
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