あなぐらむ

錆びたナイフのあなぐらむのレビュー・感想・評価

錆びたナイフ(1958年製作の映画)
3.5
弟・裕次郎の為に石原慎太郎が脚本を書き下ろし、舛田利雄が監督したムード・アクション。

裕次郎、小林旭、宍戸錠(割とすぐに退場)が揃う豪華な配置に、ヒロインはお馴染み北原三枝。
若い杉浦直樹が楽しげに悪党を演じているが、社会正義とは何か、と問う脚本は裕次郎映画の軸線から幾分ずれ、活劇としての面白みを殺してしまっている。
北原三枝はまぁヒロインなのだが、ここも裕次郎と恋に落ちるわけでもなく、どちらかというと裕次郎と弟分・小林旭の関係にどこかゲイの香りが漂う。
せっかくの白木マリも今回は色気なし。社会派ドラマにアクションが負けた格好。
舛田利雄は律儀にハリウッド映画っぽく撮って見せてはいるのでそこは見所だが、この人は堅いというか、真面目なんだな。そこが師匠の蔵原さんとはまた違う所。素材がハマるといい映画になる。