アニマル泉

襤褸と宝石のアニマル泉のレビュー・感想・評価

襤褸と宝石(1936年製作の映画)
4.5
キャロル・ロンバートが圧巻のスクリューボール・コメディーの快作。監督はグレゴリー・ラ・カヴァ。父親のユージン・パレット、狂乱のマンハントゲームの司会のフランクリン・パンクボーンなどルビッチやプレストン・スタージェスの常連が脇を固めて豪華だ。ロンバートがとにかく凄い。シャワーで水浸しになってベッドの上で飛びあがって大喜び、事態がまずくなると失神する、予測不能の全身芝居が素晴らしい。ラストシーンでウィリアム・パウエルにいい寄るロンバートが見せ場だ。この押しが「オペラハット」には欠落しているのだ。この家族がまた狂っている。母親のアリス・ブラディはピアニストの卵のパトロンになって堂々と愛人にしている、姉のゲイル・パトリックはパウエルに宝石泥棒の濡れ衣を着せようとする、母親の愛人のミシャ・オウアはロシア民謡ばかり歌っている。眩暈がするような家族である。
オープニングは電光掲示板を模した洒落たタイトルバック。続くトップシーンは上流社会の「屑探し」という宝物探しゲームになる。一番必要とされていない人間を見つけるという狂乱のマンハントだ。パウエルが執事として雇われて、豪邸の大階段を上ってそれぞれの家族の部屋から難題を押し付けられるのが面白い。扉の外でオフで倒れる、殴り倒す。見せないから可笑しい。全体にルビッチタッチを彷彿とさせる。ホームレスのパウエルは謎の過去がある貴種流離譚でもある。ウィリアム・パウエルはキャロル・ロンバートの最初の結婚相手。
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