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スワンの恋のmichiのレビュー・感想・評価

スワンの恋(1983年製作の映画)
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ずっと読みたいと思っているのに、いざ本屋さんで十何冊も並んでいる前に立つと怯んでしまう『失われた時を求めて』の一部のお話。これを観て、やっぱり読んでみたいと改めて思った!映像化した「意識の流れ」もすごい工夫がなされているけれど、いろんな監督が断念したのも分かる気がする。

映像はとても綺麗で、ヴィスコンティの貴族映画みたいに調度品や衣装も素敵。そこで、成金ブルジョワたちがスノッブ全開で品のない話をしながら、ユダヤ人や高級娼婦を見下したり、貴族には嫉妬するけど嫌味を言うことしかできない。疎ましく滑稽な上流階級の世界が見えます。

そんな中でスワンは盲目的に高級娼婦に恋をして、我を失ってオデットを追いかけるようになり、結構大変です。若いジェレミー・アイアンズが大変にセクシーでした。知的な雰囲気を醸し出しながらも恋に溺れ、ストーカーのように追っては「カトレアしたい」とか合言葉で迫って気持ち悪い姿も見せる。
お仕事とはいえ、いつもあちこち付き合わされる馭者が気の毒でおかしかった。
アラン・ドロン演じるお友達のシャルリュス男爵がまた良くて、孤高の男色家が失恋するシーンは理不尽に逆ギレしてるのになぜか惹きつけられる。
最後のオデットの姿は最強。

正直なところ、観ていて時間の流れが正確に理解できなかった。「意識の流れ」にも関わる話だと思うけど、何度も思い出に耽って突然時間が遡ったり戻ってきたり、難しい。最後近くの音楽会でみんな立ち上がって見つめるシーンもよく分からない…。またいつの日か本を読み終わった頃にでも観よう。
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