タスマニア

パプリカのタスマニアのレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
3.5
2020年216本目。

敬愛するクリストファーノーランが、かの「インセプション」を撮るときにヒントにしたというこの映画。ようやく見れた。ありがとう Netflix。

夢から醒めて現実に戻り、そこでまた現実とは思えないような出来事に遭遇して、「ここもまだ夢の中!」と言う夢の階層構造。。。
完全にインセプションにヒント与えてるよな。

そして、最後は現実と夢を混ぜてしまい、「ここは現実の描写だよな・・・?」と混乱させてしまうなんでもありエンターテイメント笑
夢を象徴するカオスな行進は、その行進を形作るシンボルから和のテイストを感じて、「平成狸合戦ぽんぽこ」を思い出す絵。
理事長が真っ黒で巨大化したときは謎の大型巨人の襲来シーンであり、敦子がその理事長を吸い込んだときは今度は謎の女型巨人の登場。
これは完全に進撃の巨人だよな笑

現代において「パプリカ」は多くの人はもはや米津の兄さんを思い浮かべてしまうかもしれないけど、実はこちらの「パプリカ」もかなり強烈で一度体験したら忘れがたいトリップ体験だな笑
今敏作品は「東京ゴッドファーザー」と「パーフェクトブルー」しか見てないけど、どちらの作品よりも遥かに脳を壊しにくるわ。

まぁ、とりあえずとにもかくにも、めちゃくちゃ気持ち悪い笑
うん、完全に褒め言葉だけど。
中でも精神崩壊した人間の表現が素晴らしすぎる。

形容詞・名詞・動詞・接続詞と美しい日本語の組み立ての根本を破壊するような台詞の数々。
それぞれの言葉単体では成り立ち、容易にイメージを沸かせられるのに、絶対にありえないような組み合わせ・順番で、イメージを脳に流し込んでくるので、これはたまらん。
オセアニアでは常識なのかもしれないけど。。

所長が窓から飛び出すところで笑ってしまったよ。まだこれ冒頭だぜ笑

あとはパプリカのキャラクターがとても魅力的だなぁ。
まさしく夢の世界のヒロイン。そして、アイドル。
同じ今敏の作品だからキャラクターデザインが似通っていることもあるかもしれないけど、「アイドル」と言う点では「パーフェクトブルー」の未麻と同じ属性なのかもしれない。

林原恵、古谷徹、大塚明夫、山寺宏一と圧倒的な実力を持った豪華声優と、江守徹の重厚な声。
キャスティングも重鎮アニメとしての底力を感じた。
あとは、平沢進の音楽。なんかあのピカピカした音楽も世界観にあっている気がする。

一人で個人的にもう一回見たいか?と言われたら「うーん」って思うかもしれないけど、なんか誰かと一緒に夢の世界を共有しながらならばライドできるかも・・って感じの映画だったな。

みんながみんな時田のことを「天才が子供のまま大きくなった」みたいに形容していて、天才科学者が周囲に理解され愛される世界線は結構珍しくて興味深かった。
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