スパイク・リー監督のアメリカに根付く人種差別意識を見事に根っこからさらけ出させた映画。
ブルックリンを舞台に黒人、イタリア系、プエルトリコ系、ユダヤ系、韓国系、従来のアメリカ白人などが混在する空間で、登場人物一人一人の言動から、僅かながらでも隙あれば相手のモラル面にまで踏み込むほどの差別的な発言が常に出てくるこの映画、本当に当時のアメリカの暗黒面をきっちり描いていると思った。
Do the right thing! この言葉を言うのが、仕事もなくのらりくらりとしていて、誰よりも落ちぶれているように思えたメイヤーからだったのが興味深い。そして、彼は最後まで、争い事を否定し、平和的に解決するよう努めていた。そこがとても興味深いように思えた。恐らくright thingの真意に唯一近づいているのは彼だけなのではないのだろうか。
映像も家々を赤を基調としていて、当時のドリームチームやらマイクタイソンなどの黒人が活躍していた時代をしっかりと反映し、そこからあのような展開にするのはまさに当時の情勢を皮肉っていたのではないのだろうか。まさにアメリカの暗黒面である。
あのラストもどこか後味悪い。でもそこがとても興味惹かれた。差別的考えはいけないと再確認できる映画だった。