踊る猫

パラダイス・ナウの踊る猫のレビュー・感想・評価

パラダイス・ナウ(2005年製作の映画)
4.4
ハニ・アブ・アサド監督の映画はこれが初めて。エンターテイメント性に欠けるきらいはあるのだけれど、俳優陣のシリアスな熱演、汗の匂いのしそうなヒリヒリしたリアルな感触に打ちのめされてしまった。イスラエルとパレスチナの関係は泥沼化しており、一朝一夕で解決出来るものではないだろう。だが、この映画を観ていると自爆テロを行う側、攻撃する側にも一部の理というか正義があり、しない側にも正義があるというシンプルと言えばシンプルな、しかし深い真実を教えてくれる。序盤は人物の描写不足というか、何故自爆にまで登場人物たちが追い込まれなければならなかったのかが分かりにくい印象を抱いたのだけれど、後半から尻上がりに面白くなって来て結果的にこの点数になった。ハリウッドからはなかなか生まれないだろう「声」がここから響いて来るのが分かる。好き嫌いは観たあとに判断すれば良い。ともあれ、必見の映画と言い切ってしまおう。
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