優しいアロエ

エル・スールの優しいアロエのレビュー・感想・評価

エル・スール(1982年製作の映画)
4.2
 『ミツバチのささやき』から10年の時を経て製作されたヴィクトル・エリセの第2長編。『地獄の黙示録』の仏領荘園の美女オーロール・クレマンが出演している。

 前作にも増して、親と子の心の不在をテーマにした回顧譚である。1975年のフランシスコ・フランコの死とそれに伴う独裁政権の終焉からか、政治的言及もより直接的なものとなった。

 本作の鍵を握る「振り子」は、真実を指し示す道具。父が振り子を捨てたのは、真実を知ることへの恐怖からとも、期待した真実がいつまでも示されないからともとれる。そして娘は、父の故郷〈エル・スール〉に真実を求め、振り子を小箱に仕舞い込む。
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