ろ

白い花びらのろのレビュー・感想・評価

白い花びら(1998年製作の映画)
5.0

2人は子どものように幸せでした

田舎暮らしを楽しむ夫ユハと妻マルヤ。
2人は畑仕事と食事を共にし、
夜はそっと寄り添って眠る。
穏やかな毎日、幸せな日々。

しかし、その幸せは長く続かない。

ある日のこと。
車が壊れたから修理をしてくれと、一人の男が現れる。
男は美しいマルヤを誘惑する。

身の危険を感じるマルヤ
ギラギラした目を持つ男
そして能天気でお人好しのユハ

男は「また迎えに来る」と言い残し、
マルヤのもとを去る。

初めは男を拒絶したマルヤだが、
次第に都会の暮らしに憧れ、
化粧やオシャレ、タバコに目覚める・・・。


白い花びらが川を下っていく時、
かつての愛は消えてしまう


これはね、本当に切ない物語なんです。

マルヤは多くを望み、幻想を抱いてしまった。
言葉や見かけに惑わされてしまった。
今の生活がどれほど豊かか、幸せか。
そのことに気が付いたときには、
もう引き返すことは出来ないのだ。


手料理が冷凍食品に変わってしまった日。
振り上げたコブシを下ろした瞬間。
黒い犬の寂しげな目。

マルヤが去って、一年経った。
流れゆく季節がこんなにも寂しいなんて。


ごみ集積場で力尽きるラストシーン。
心に冷たい風がピューッと吹いた気がして、
でも救いがあるような気もして、
ぼんやりとエンドロールを見つめていました。
ろ