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男はつらいよ 寅次郎忘れな草のtjZeroのレビュー・感想・評価

3.8
『運び屋』を試写で観た山田洋次監督のコメントが適確で、鋭いな~と思いました。

山田監督「これは、寅さんだ」。

クリント・イーストウッドが演じたアール・ストーンと、渥美清さんの車寅次郎。
外見は全く違うので、「どこが一緒なの」と不思議がるかたもいるかもしれません。自分なりに、両キャラクターの共通点を考えてみたいと思います。

① 家庭を省みない
ふたりとも、家の中よりも外で活動するのを好むタイプです。
アールは、品評会で受賞する名花を育てるのが生きがいで、娘の結婚式よりも優先させるほど。
寅さんの方も、旅から旅へと小間物を売り歩く風来坊。実家にたまに寄っても、すぐに旅立ってしまいます。
そのため、両者とも「家族に迷惑をかけている(=不義理している)」という後悔の念が、作品内に漂っています。

② 女にモテる
『運び屋』のメキシコの場面での、アールの絶倫ぶり。イーストウッドが演じるからこその説得力であります。また、品評会や退役軍人会のダンス・パーティでも妙齢の女性たちに大いに慕われていました。
寅さんの方は肉食関係はストイックかもしれませんが、全国津々浦々に思いを寄せられるマドンナたちが点在しています。”東洋のジェームズ・ボンド”といっても過言ではありません。

③ ヤバい稼業とのつきあい
アールは朝鮮戦争で死線をくぐってきたので、怖いもの知らず。麻薬密売人たちとも対等に渡り合います。その度胸があだとなり、数百キロのヤクを運ぶ犯罪に手を染めてしまいます。相当重い刑を食らうことでしょう。年齢を考えると、結果的に終身刑になってしまうかもしれません。
人畜無害に見える寅さんですが、テキ屋稼業ですから、地元を仕切るヤクザ者に仁義を切る必要もあるはず。旅から旅の毎日の中で「ヤバいブツを届けてくれよ」と”運び屋”役を断れないケースも多いはずです。

以上、3つの共通点を挙げ…ても、まだ納得できない⁈
じゃあ、決定的なヤツを出しましょう。
Ⓐ 浅丘ルリ子さんが演じた、寅さんが最も惚れこんだマドンナの愛称は?
Ⓑ アールじいさんが丹精こめて育てている花の種類は?

…この2つの答えを合わせれば、アール・ストーン≒車寅次郎、の公式はほぼ証明されたも同然であります(笑)。
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