mimitakoyaki

エコールのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

エコール(2004年製作の映画)
3.0
インフル感謝祭にて。

世間から完全に隔絶した森の中の寄宿学校で、小学1〜6年生くらいの少女たちが踊りや生物学を学び規律を守りながら日々を過ごしている。
だけど、彼女らは何処から何の目的でこの学校に送られてきたのかわからない。
森には高い壁があるため、片側から壁の向こう側を伺い知ることはできず、外の世界には出られない。
そんな秘密のベールに包まれた不思議な学校の少女たちを美しい映像とともに描いた作品です。

とにかく説明がほとんどないので謎だらけで、どう解釈していいのか難しいのですが、見終わってよくよく考えてみると、ホラー並みに怖い話なんじゃないかと思えてゾッとしました。

少女たちは純粋無垢で訳がわからないままこの学校に棺桶に入れられて連れてこられ (この時点でナゼ棺桶⁇ってなる)、基本的には森の豊かな自然の中でのびのびと戯れて過ごしてるのですが、いつ帰れるのか、外にはなぜ行けないのか、最年長の子はいつも夜にどこに行って何してるのか、など疑問を持っても誰も教えてくれず、掟を破ると厳しい罰を受けるため、少女たちは、自己主張したり疑問に感じたり考えたりする事を許されずに育つのです。
マリオン・コティヤール演じるバレエの先生が「服従こそが幸せに通じる」と言うのも不気味です。

ある年齢になると、校長先生に選ばれた子は外に出る事ができるのですが、バレエの演技だけでなくうなじや脚やらも品定めのように見て選ぶのです。

さらに、最年長の子たちは夜になると秘密の劇場で蝶の羽根の衣装を着けて客に踊りを披露するのですが、客は金持ちの男性のようです。

要するに、彼女らは男たちに選ばれる女になるためにこの学校で養成されてるのではないかと思うのです。
自己主張せずに服従し、純粋無垢な美しい少女として男性を喜ばせる。
キモーーーーーッ‼︎‼︎
ひとりの人間の価値を何やと思ってんねんっ!
何これどういうこと?

いや、それを批判的に描くならわかるんですよ。
けど、ひとりの人間としての主体性を認めずに女を男の所有物にするような価値観を蹴り飛ばすような人物が出てくるわけでなし(それどころか、従わなかった人はみんなとんでもない目に遭うのです)、批判と受け取れるような何かが明確な形であるわけでもないので、ちょっとこの作品何が言いたいの?どういうつもりで作ったん?と思ってモヤモヤしてしまいました。

森の中で無邪気に戯れる少女たちを天使のように美しく撮ってるんですが、ずっと性のにおいが付きまとうんです。
制服は純白のスッキリとしたデザインでお洒落でかわいいのですが、やたらスカートが短いから脚が強調されてるし、裸のシーンも結構あるしで、これ大丈夫なん?とちょっと気になるくらいです。
やっぱり子どもを性的な視点で描いてることに抵抗を感じました。

学校の寮も古くて陰気な建物なので、夜にひとりで徘徊してたら、変態の毒牙にやられるのではないかとヒヤヒヤしたり、少女たちが売られたりしないか、虐待されないかとか常に不安が付きまといます。
そういう不穏さや不気味さも醸し出していて、ちょっと怖い感じもあるんですよね。

蝶が印象的に出てくるので、蛹から羽化して蝶になることと、少女が体も変化し性に目覚め女になっていくことを重ねてるんだろうなというのもわかるのですが、解釈次第で気持ち悪くて不快極まりない話になるだろうなと思いました。

16
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