ふたば三十郎

2001年宇宙の旅のふたば三十郎のレビュー・感想・評価

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)
4.0
IMAXでトリップしてきたぜ!
あの「彼方へ」のシーンは今となればチープだが、それでもしっかり連れてってもらいましたわ。
俺もあのままスターチャイルドになって人生やり直したい(笑)

何年か前に午前10時の映画祭で観た時は画面の四隅が暗いのが不満で、今回も不安だったけど、そんな事はなくバッチリ最高の映像と音楽で楽しめましたよ!
逆にいったいアレは何だったんだ(笑)

劇場では2回目、これまで何回か観てるけど、思えば初見時は小学生。
難解とか色々言われてるけど、子供の時に観たのが良かったのか、難しい映画と構えず、先入観なく素直に画面の情報だけが入ってきたから、ただひたすらスゲー!としか思わなかったなあ。
ある意味、幸せな鑑賞だったと思う。

だってお話自体はシンプル。
猿が知恵つけて道具を使い獲物を狩り肉を喰らい、そして遂には同族を殺すという、人間の業とか原罪みたいなのから始まり、今度は逆に人間が作った最高の道具であるコンピューターに殺されるって展開に、ドキドキしながら子供心にうおおおお!てなったもん。
因果応報とかの言葉は知らずとも何か“やったらやられる”感みたいなものに興奮してた。ちょっと違うけど(笑)まあ当時はね。

そして何より、あの音楽と放り投げた骨からの人工衛星とか、これぞムービーマジックって演出にシビレまくった。
難しい言葉を使って理屈で理解するわけではなく、考えるな!感じろ!が自然に出来たんだと思える。子供だから。
まあ、そうは言っても、ラストは全く意味わからんかったけど(笑)

こういった映画こそ頭の柔らかい子供に観せるべきだわ。
大人が考える以上に、子供はもっと感覚的に理解するから。
頭でっかちになる前の方がいい。

実は私にとってタルコフスキーの映画がそう、大人のダメな理屈を考えるパターンのやつだった。
今のシーンの意味を考えねばとか、監督の意図を読みとらねばって身構えてた自称映画ファンの大学生は、解説書とか読み漁って臨むわけですよ、作品に。

そんな時に黒澤明監督が、タルコフスキーはぜんぜん難解じゃない、まず素直に観ろよって言ったのを聞いて、ハッと目が覚めた。
作品に向き合う前に解説書と向き合ってどうする⁉︎って。

本作に関しても大学時代に様々な解説書を読み、今は理解を深めた状態で再鑑賞できるわけだが、子供の頃に作品に感銘を受けた土台があったからこそなわけで、まずは作品を楽しむ心がないと、解説書だけじゃダメなんですよね。

キューブリック、タルコフスキー、黒澤明、と自分にとって巨匠とは映画だけでなくその見方も教えてくれる師匠みたいな人たち。
☆☆☆☆