ふたば三十郎

イップ・マン 継承のふたば三十郎のレビュー・感想・評価

イップ・マン 継承(2015年製作の映画)
3.5
よく映画的に“語らずとも伝える”演出、例えばピアノを弾いてその音色で相手に愛を伝えるシーンとかあるけど、まさかの木人椿への打撃音で夫婦愛を語らうのは映画史上初の演出ではなかろうか。

木人椿相手に何も喋らず稽古をするイップマンと、隣に腰掛け同じく何も喋らずその姿を見つめる妻。

改めて文字に起こすと笑ってしまうシチュエーションだが、満員の劇場ですすり泣く声が聞こえたので、それだけで素晴らしい作品だと言えるだろう。

若き日のブルース・リーの登場はただの出オチかと思いきやもうひとネタあって嬉しくなるし、アクション映画としてはマイク・タイソン戦が目玉かと思いきや、もう一人の詠春拳の使い手であるマックス・チャンとのクライマックスが最高を超えて至高の出来で大興奮だった。

『ドラゴン×マッハ』で主役のトニー・ジャーとウー・ジン以上にキレキレだったマックス・チャンは、本作でもマイク・タイソンより存在感を発揮。
あの儚い成り上がり感は、遅咲きの彼自身のキャリアと重なりとても印象的だったと思う。
マックス・チャン主演で外伝があるので是非観てみたい。
☆☆☆★★