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ゾディアックのしおえもんGoGoのネタバレレビュー・内容・結末

ゾディアック(2006年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

実際の未解決事件をもとにしているというだけでどうしてこうも興味をそそられるのだろうか。どうせ犯人は断言されないのに。
この作品も、結局は真相はわからない。ほぼクロと思われる容疑者も決め手に欠けていてモヤモヤする。興味本位で見てる私でもこれなのだから、実際に捜査している人のストレスはいかほどのものだろうか。

ここに出てくる刑事のトースキーと漫画家のロバートはどちらもゾディアックにどっぷり浸かっているけれど二人のスタンスは全く違う。トースキーがあくまでも刑事として規則の壁に阻まれたりしつつ犯人逮捕を目指しているのに対し、映画中盤から本格的に調べ始めるロバートは「隠された真相を自分が暴く」ことに憑りつかれる。真相を究明したい欲が暴走していく様はかなり怖いし、ジェイク・ジレンホールのガラス玉のような目がはまりすぎ。
特に映画技師の友人の家に行ってから被害者の姉に会うところの一連の流れに顕著で、それまではリック・マーシャル(映画技師)が犯人だと確信していたのに、その友人がポスターを字を書いたと聞くと彼を疑い、上の階から物音がすると犯人は二人組だと言い出し、被害者の姉に会ったら本人が否定しているにも関わらずパーティーにいた男の名前はリックだと言わせようとする。しかしリーの名前が出たら一転、最初からアーサー・リー・アレン犯人説を唱えていたかのように大興奮でトースキー宅に突撃する。
この流れはロバートの本でどのように書かれているのか分からないけれど、私の眼には自分が発見したヒントに興奮したかなりの思い込み調査に見えてしまう。
結局原作者は本の中でもアーサー・リー・アレンがほぼ犯人だと言っているのだろうか。アレン本人はすでに亡くなっていて、映画によると実の家族ですら疑っているようなので心配ないのかもしれないが、このような素人の思い込みで実名で犯人と示唆された人が冤罪だったらどうなってしまうのか、ロバートの行動がジャーナリストというよりはミステリーマニアに近い気がして、それが怖いなと思った。

でも私が未解決事件ものが好きな理由は、まさにこのロバートの溺れている「隠された真相を暴く(知る)快感」なんだろうと思う。

あと私は割とグロ耐性はある方だと思っていたけれど、この映画の殺害シーン(特にナイフで殺傷されるカップル)は私の中では屈指の恐ろしさだった。異様なほどのリアリティと恐怖で、トラウマになりそう。
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