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ゾディアックのytのレビュー・感想・評価

ゾディアック(2006年製作の映画)
3.7
本作は実際に米国で起きた未解決の連続殺人事件、「ゾディアック事件」を題材に制作された作品。監督がデヴィッド・フィンチャーな事もあってか、事件中心のサスペンスというより、事件に対しての人間ドラマに重点を置いた作品。どこか鑑賞者に恐怖感を植え続ける雰囲気に、印象に残る殺人の描写。流石フィンチャー。

[レビュー]
・観終わって直後に感じたのは「長い」、そして「疲労感」。序盤から繰り広げられる重い雰囲気に、事件で起こる様々な狂気的な犯行を含んでいくのは良かった。だが、終盤にかけてそれが返ってダレてくる。未解決事件なために、終盤の締め方もヌルッと感が否めない。上映時間157分という長尺に、莫大な情報量は観てるこちらも疲れるものだ。

・だが、返って未解決事件というところが怖さを助長させる1つのポイントでもあると思う。残酷な事件なだけあって、犯行の一つ一つの残忍さも凄い。1960年代後半に起きた事件なため、場所や雰囲気のレトロ感も増している。フィンチャーの良さが光りまくり。

・この作品は、怖いを2つの意味で捉えることが出来る作品でもある。1つは上記で挙げた通りの事件に対する怖さ。そしてもう1つは、事件に対してズルズルとのめり込み、周囲が見えなくなってしまうことだ。何かに夢中になり、自分の世界にのめり込んでしまうことで、周囲にどのような影響を与えてしまうのかがまた繊細に描かれている。事件が解決しない、というところがこの怖さを増している。

・またこの映画では、ゾディアック事件で犯人が手紙で引用したとされる「猟奇島」のシーンが存在。この作品を観たことない自分としては、観てみたい作品となった。

👉狂気的な犯行に拍車をかけるような冷酷な雰囲気と役者の演技。長くは感じるが、観終わった後のあの何とも言えない気持ち悪さはフィンチャー映画ならではだろう。少しでも概要を知っているなら、1度観てみたらいかがだろうか。

[ゾディアック事件]
1968年から1974年にかけて、米国カリフォルニア州サンフランシスコ市内で若いカップルを中心に少なくとも5名が殺害された。 劇場型犯罪として有名で、2022年現在未だ解決されていない未解決事件の1つ。
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