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ヴィーガンズ・ハムのytのレビュー・感想・評価

ヴィーガンズ・ハム(2021年製作の映画)
3.8
肉屋を営むとある夫婦が、ある出来事をきっかけにヴィーガンを殺害、その肉でハムを作ったらまさかの繁盛してしまうB級ブラックコメディ。監督を務めるファブリス・エブエはコメディアン出身なだけあって、その内容は面白さと異常の紙一重。現代への風刺も効いた癖のある作品である。

[レビュー]
・倫理観、グロさ、といった常識を全て覆してくるのに面白かった。多分人間は結局こういうのが好きなんだよ、というギリギリなラインを攻めている。肉屋を営む夫婦がヴィーガンを狩る、という変化球カニバリズム系の設定がまず面白いのに、そこにブラックジョークが盛り込まれるから時間はあっという間。ヴィーガンの人の肉が美味しいって何とも嫌味なことよ。

・1人目から2人目までに少し間隔が空いているところは、夫婦の心の葛藤がモロ描かれているようだった。2人目を終えてからはリミッターが外れ、まるでチーターかのような狩り様。狩る夫よりも、指示する妻の方が狂ってるのが怖いんだよな。正直ブラック強めのラストでも良かったとは思うけど、これはこれで良い。番組出演おめでとう。

・イラン豚によって全てを手に入れ、全てを失った訳だが、このイラン豚が売れれば売れるほど、我々は動物から命を貰って食事をしている事を改めて実感させられる。なんとも風刺の効いた作品なんだろう。

・ヴィーガンを悪く思うことは全くない。それぞれの信条や価値観がある訳で、お互いのフィールド内で収めてくれているのであればそれで良い。だが、本作に出てくる娘の彼氏のような、信条を人に押し付けないと言いながらも、必然的に相手にも信条を押し付けてしまうのは良くないよね(娘も肉を食べないようになるなど)。信条や価値観は人それぞれ違って当たり前だし、お互いがお互いを尊重して共存し合える世の中になるのがベストなんだと思うけど。中々難しいもんだよ、これが。

👉そんなこんなでここ数日はハムを食えなくなりそうなブラックコメディ映画でした。何より脳死で観れるのが最高なんだな。最後に一言、「Vパワー!!✌️」
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