もものけ

レッドブルのもものけのネタバレレビュー・内容・結末

レッドブル(1988年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「さ〜て、この俺に何の用かなミスター・モスクワ」

冷戦下のソビエト連邦モスクワ警察イワン・ダンコ大尉は、ロシアン・マフィアが牛耳る麻薬組織の捜査をする為、グルジア人ビクトルを捕まえようと踏み込む。
しかし、まんまと逃げられアメリカ合衆国へ逃亡したビクトルをシカゴ市警の警察が逮捕し、引き渡しを行う為に単独アメリカ合衆国へ向かうダンコ大尉。
無事引き渡しを終えるはずが、またもやビクトルに逃げられ、シカゴ市警リジック部長刑事と共に、ビクトルを追うためチームを組むことになるのだった…。


感想。
定期的に鑑賞しております👍

日曜洋画劇場吹替シネマの名作のの一つで、アクション映画の巨匠ウォルター・ヒル監督が、ハリウッドで初めてロケーションを許されたソビエト連邦とアメリカを舞台に、モスクワ警官の視点から冷戦下の両国のカルチャーギャップをコミカルに取り入れた、男臭いアクション映画の名作です!
残念なのはテレビ放映時カットされており、このたびBlu-rayで鑑賞するもカットシーンは吹替なしなので、完全吹替版ではないのは悔しいです。

型破りしか共通点のない資本主義と社会主義の二つの世界に住む警官二人のパートナーとしての友情を背景に、政府に搾取される人民や人種差別などのテーマを盛り込み、ポリスアクション映画として、米ソ二国のキャラクターという相反する当時の時代背景を描かれており、物語に重みを与えています。
しかし、資本主義バンザイ的なわけでもなく、どちらの世界にも苦労はあるメタファーを、警官同士の皮肉を言い合う掛け合いで演出しているので、米ソ友好の架け橋的な作品としても見れます。
冷戦ならではの時代背景です。

ほどよいヴァイオレンス描写と、アクションを上手く魅せるカメラワーク、迫力ある演出と、さすが巨匠ウォルター・ヒル監督、飽きさせません。

アクション映画全盛期に、ロシア人を演じさせたらドルフ・ラングレンかアーノルド・シュワルツェネッガーかというくらいで、筋肉隆々のボディで演じるショワちゃんが、頭の固いロシア人というアメリカ人の偏見を演じるクスリとも笑わない、しかめっ面がいい味出しております。

「ダーティ・ハリー」を知らないロシア人がぶっ放す357マグナムや、当時のアクションでは斬新な両手持ち拳銃、隠し拳銃など、武器のカッコよさと迫力をウォルター・ヒル監督独特な暗めのトーンのフィルムで、ヒロインらしき女性が出てくるもロマンス一切なしで突き進むハードボイルドさと娯楽アクション要素タップリで、楽しめます!

クライマックスのスピード感はないのに大迫力な大型バスでのチキンレースは、吹替シネマ史上の名シーンとなっております!
ダンコ大尉「うぉおおおおおおっ!」
からの、
「このバカ!バカヤロー!」
までのアーノルド・シュワルツェネッガー専属声優 玄田哲章さんの名セリフには、何度見ても笑わせてくれます!!

ラストシーンの傑作「ブラック・レイン」に並ぶ友情の別れから、当時珍しいクレムリン広場で敬礼するアーノルド・シュワルツェネッガーで締めくくるアクション映画の傑作に、拍手喝采で5点を付けさせていただきました!!

ロシア音楽の哀愁が大好きです!
もものけ

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