もものけ

スクリームのもものけのネタバレレビュー・内容・結末

スクリーム(2022年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

あの惨劇が過ぎ去ったウッズボローの町は、惨劇を題材にした映画"スタブ"の8作目を迎えるほどに時が経っていた。
しかし、町を包む不穏な影は、ゆっくりと確実にウッズボローを包み込もうとしていたのだった…。





感想。
ポップなスラッシャー・ムービーとして、マヌケなゴーストフェイスがコミカル過ぎて全然怖くなく、むしろ犯人は誰だという考察に衝撃的だった「スクリーム」のリブート作品かと思いきや、新作ということに更に衝撃を受けます。

CGなどの残酷描写はありつつも控えめで、時代の変化を感じさせつつも、やはり嘲笑的な笑いが込み上げるゴーストフェイスのマヌケさが可笑しくもあります。

ハロウィン・マスクとして商業的にも成功したと思われる、オリジナル・デザインのゴーストフェイスは、"ムンクの叫び"をモチーフにされたとあり、思春期の社会へ対する想いが溢れるかのようなデザインで、あまりにもコミカル過ぎてこちらも怖くないのに、マスクの下の表情が持つ人間性のほうに恐怖を感じるという、不気味な二面性を醸し出しており、残酷描写のドギツさと嘲笑的な演出による二面性を掛けているのでしょうか。
ふざけたマスクで、本気に殺しかかってくるアンバランスさが良いです。

まさかの続編ということで、ビリー・ルーミスの娘が登場する繋がりで始まる犯人は誰だスリラー。
個人的には、おヒゲ警官デューイが登場してくれるのに笑ってしまうツボが。
さらにシドニー役のネーブ・キャンベルまで出演する驚き。
こんな期間を置いて続編を製作すると、大概キャラクター達が年老いてしまって無理があったり、キャスティング変更などでイメージ台無しにされがちですが、故ウェス・クレイブン監督も満足いくかのような脚本に、傑作「スクリーム」の名前を冠する続編としては、頑張っているのではないでしょうか。
ネーブ・キャンベルは、「スクリーム」の大ヒットでシリーズのキャリアから人気に火がつく女優でして、現代で言えば「トワイライト」シリーズのクリステン・スチュワートが同じようなキャリアのポジションにいる感じなのでしょうか、当時はスターダムとして「スクリーム」=ネーブ・キャンベルというほど印象的な美人女優でありました。
演技力も高く、声質もよいのですが、大ブレイクというほど出演作が多くないのは残念ですが。

ここで登場人物たちの親世代が全て関係者という構図が整い、新旧世代の演技バトルになってゆく世代交代として演出。
シリーズの生き残り達が総出演してくるので、「スクリーム」という題名をつけた意気込みが感じられます。

さらに映画会社の続編、リメイク、リブートの都合を、"スタブ"の犯人像として、後日譚を描く理由を作品で解説してしまいます。
作中で不都合な疑問点などを解説を用いて無理やりねじこむ展開は斬新。
これによって観客は納得してしまい、犯人像へのトラップへとハマってゆきます。

しかし、5作目ともいうとネタも尽きており、犯人探しというよりは誰が出てきて、次は誰が殺されるのかを見るだけの作品になっていて、失速感はいなめません。
さらに分かりやすい犯人像で、かなり前から気づいてしまい、明かされてもやっぱりそうか程度。

懐かしいキャラクターの登場を懐かしむ作品へ、3点を付けさせていただきました。

貫禄すらついたネーブ・キャンベルは、やはりいい女優であります。
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