観る前と観た後でジャケ写のワンダの印象がガラリと変わったけれど、すごく好みの作品だった。
1970年と言えば、いわゆるウーマンリブ運動の真っ只中の時代だが、この作品にはそんな気配を全く感じない。ワンダは良くも悪くもマイペースで、強い意思も自信もなく、誰かに頼ることで自分の存在を確認しているかのようだ。
偶然行動を共にすることになるノーマンは、雰囲気が何となくゲイリー・オールドマンぽい。落ちぶれているけれど虚勢を張っていて、典型的な男尊女卑で、孤独だけど誰かに自分の存在を認めてほしいという思いが根底にある。
そんなノーマンとワンダのつかの間の逃亡の旅は、決してロマンチックではないし、バッファロー66みたいなオシャレさもないけれど、何かコミカルで寂しくて現実を風刺しているかのようにも見える。
(この時代のファッションは本当に素敵)