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不安は魂を食いつくす/不安と魂のmiwanのレビュー・感想・評価

4.2
「カウリスマキ作品っぽい」って思ってたら、ファスビンダー監督の方が先だった。
カウリスマキ監督が1957年生まれ、ファスビンダー監督は1945年生まれ。

そもそも題名からして、すごく文学的というか、耽美的な作品だと想像していたので、こんなに生活感が溢れている庶民的なお話だとは思わなかった。もちろん、背景には戦後の社会や文化や移民問題、女性の地位みたいなものが「堂々と」潜んでいるけれど、映し出されるものは、ごくごくありふれた庶民レベルのお話だ。
時たま流れるBGMとか、「寅さん」ぽくてちょっと笑えた。

ドキドキするようなでき事もなく、サラッと状況が展開する。「そんなに簡単に?」とも思ったけれど、世間なんてちょっとした契機や流れであっという間に手のひらを返す。そして、それは良い流れへと向かっていると信じたいけれど、絶対的に良いものなんて残念ながら無い。とくにマイノリティーにとっては、「良い流れ=幸福」が彼らにとって真の幸せとは限らない。

主人公の未亡人エミの娘婿をファスビンダーが演じていて、ゲスな感じがすごく良かった。何となくペドロ・パスカルっぽい。
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