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メトロポリスのtetsuのレビュー・感想・評価

メトロポリス(1984年製作の映画)
4.8
関西トラックメイカーズ×神戸映画資料館の特別イベントにて鑑賞!

舞台は2026年。
地上の楽園・メトロポリスの地下には、労働者の生きる世界があった。
権力者・フレーダーセンの息子・フレーダーは、地下からやってきた女性・マリアに出会い、地下都市に足を踏み入れるが...。

第一部の『戦艦ポチョムキン』に続き、テクノサウンドの生演奏つき上映。
上映時間は82分だったため、使われたフィルムは現存するバージョンで最も短いジョルジオ・モルダーverだと思われる。

イベントの第1部『戦艦ポチョムキン』では、演奏者の独創的な音楽で作品の新たな一面が浮かび上がっていたが、本作の演奏は作品に忠実な印象。
とはいえ、そこに演奏者のオリジナリティも感じられ、個人的にはコチラの方が好みだった。

授業では途中までしか観ることが出来なかったため、今回、最後まで鑑賞できて感激した。

地上に住む富裕層と地下に生きる労働者。
普遍的な「階級差」がテーマの物語は、今観ても全く色褪せておらず、興味深かった。
ディザスター映画の古典とも言える終盤の洪水シーンも含め、意外と『タイタニック』と共通する点が多い作品だとも思った。

権力者に扇動される民衆、ホラー映画の様なマリア逃亡シーンなど、SF映画の古典という言葉にとどまらない本作。
地上と地下、富裕層と労働者、そして、頭脳と手。
様々な対立構造が見事に水に流され、融解していくラストにSF映画の真髄を感じる作品だった!

P.S.
クライマックスの洪水シーンは爆音映画祭と言っても過言ではない音量だったため、鼓膜が破れそうだったがw、それも含め、大迫力の映画体験だった!!
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