イチロヲ

シベリア超特急のイチロヲのレビュー・感想・評価

シベリア超特急(1996年製作の映画)
5.0
シベリア鉄道に乗車する山下奉文(ともゆき)陸軍大将とその側近が、不可解な殺人事件の解決に挑む。第2次世界大戦前の1938年、モスクワから満州へと向かう鉄道内を舞台にしている、密室サスペンス。

映画評論家・水野晴郎が、65歳にして映画製作に携わった作品。完全に「趣味の世界」であり、舞台挨拶での本人の言葉を借りると、「笑いたい場面では笑ってください。ただし、戦争の悲惨さは持ち帰ってください。それが戦争体験者の率直な思いです」。

筆者はヒッチコックの「バルカン超特急」が大好きなので、「シベリア超特急という映画を作っちゃいましたー」という水野先生の言葉を聞いたとき、すぐにオマージュ作品だと気づき、意気揚々と飛びついた。劇場の観客は、10人も満たなかった。

水野先生の棒読み演技、車両内をワープする登場人物、安直かつ緻密なオマージュ要素。未知なる衝撃が間断なく襲い掛かってくる、ミラクル・エクスタシー・ムービー。何よりも、「自然発生的な応援上映の確立」という大きな功績を称えるべき。
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