ノラと、彼女が愛した四人の男性との物語。彼女の二番目の夫、ちょっと飛んでるヴィオラ奏者イスマエルにマチュー・アマルリック。
しばらくはノラとイスマエルの物語が交差することもなく、二人の関係性も判然としない。かなり対照的に二人のキャラクターを描出していて、色調・背景・音楽すべて正反対の要素で構成される。暫くは、別のふたつの映画を見ているような感覚がある。
2時間半の長尺ではあるが、エピソードてんこ盛りなので、それほど長いとも思わない。個別のエピソードは興味深くもあり、それらがある関連性を持たされていることもわかる。つまり、ノラという女性の欠落の周縁に配置されている、という関連性だ。
が、この情報量の多さ故か、エピソードを語ることが目的と化し、肝心のノラという主体がいまいち見えないままに終わってしまった。彼女にとって最初の夫との結末は、父親からの手紙は、一体なんだったのだろう。わたしには、ノラがこれらを潜り抜けて、彼女自身の何かを変えたようには見えなかった。語られっぱなしのエピソードだけが宙吊りになる。
カメラが揺れたりコマ飛ばしたり突然ズームしたり、もあんまり合わなかったなー。
でも一歩踏み出したイスマエルにはぐっときました。