ミチ

蝶の舌のミチのレビュー・感想・評価

蝶の舌(1999年製作の映画)
4.6
映画のほとんどを占めるのは8歳の少年モンチョの成長物語。

喘息持ちで引っ込み思案な少年が、偉大な先生や心を許せる友と出会い、様々な経験をする中で成長していく様子をとても丁寧に描いている。

これが今の時代であれば、ただの成長物語で終わったはずだ。
しかしスペイン内戦という時代の悲劇が、8歳の少年の心に大きな傷をつけてしまう。

終盤、空気がガラっと変わるところは観ていて恐怖を感じるほど。

そして8歳の少年に突きつけられたあまりにもつらい出来事。
物語が終わった瞬間は、悲しみというより呆然としてしまった。

そしてエンドロールが終わる頃、それがやっと悲しみとなって襲ってきて、そこから涙が止まらなかった。

映画は戦争の影を残して終わるが、現実はここからがつらいのだ。
この後に待っているスペインの悲劇を思うと、本当につらくやるせない気持ちになる。

最後にモンチョが発した言葉はとても悲しいが、彼が先生に出会って成長した証でもある気がして、それだけが唯一の光だった気がする。

戦争の場面を一切描いていないのに、こんなにも戦争のつらさを感じる映画は初めてだった。

血を見せることだけが痛みを伝える術ではない。
そんなことを考えさせられる作品。