tjZero

ものすごくうるさくて、ありえないほど近いのtjZeroのレビュー・感想・評価

3.6
9・11のN.Y.テロで父を亡くした少年が、遺品の中にあった1本の鍵の謎を探って大都会を歩き回る…。
最初の内は、彼が聡明で弁もたつのでなんか小賢しく、生意気な印象すらあるのだが、次第にそれが父の死に崩れそうになる内面を、必死に支えている外側の鎧のような態度なんだとわかってきて愛おしくなってくる。『リトル・ダンサー』のスティーヴン・ダルトリー監督は子どもの描写がやっぱり巧み。
そしてクライマックスで明かされる真相(6番目の電話)に至っては、観ているコチラの感情まで決壊しそうになるほど、ココロが揺さぶられる。
一見ムダにも見える彼の”捜索”は、残された母と共に父の死を受け入れるための”儀式”のようなモノだったのだろう。9・11や3・11といった大災害だけでなく、大事な誰かや何かを失ったことのあるヒトになら、誰のココロにも響く普遍性のある回復の物語。
トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、マックス・フォン・シドー、ジェフリー・ライトといった彼を支える大人の俳優たちの演技も素晴らしい。
tjZero

tjZero