滝和也

緋牡丹博徒 仁義通しますの滝和也のレビュー・感想・評価

緋牡丹博徒 仁義通します(1972年製作の映画)
3.6
天下の名花、
藤純子の贈る
緋牡丹博徒シリーズ
最終編!

艶やかに激しく、
渡世の道で咲くか
緋牡丹、また一輪…。

「緋牡丹博徒 仁義通します」

藤純子を東映任侠路線の紅一点にして華やぐ名花としたシリーズの第八作にして最終作です。

北陸でお竜は北岡(菅原文太)と出会う。大阪では堂満一家のおたかが病に倒れ、シマを狙う伝法一家もそれに乗じ、跡目と目される岩城(松方弘樹)を狙うが岩城の兄弟分だった北岡がそれを救う。お竜もおたかの身を案じ駆けつけるが、堂満の跡目岩城の後見を頼みおたかは旅立つ…。だが跡目を外された代貸、松川との間に跡目争いが起こり…。

正直シリーズ最終作としてはやや弱い作品だろう。加藤泰を筆頭に名監督のこだわりの絵図の素に描き出されたシリーズ、前作や前前作に比して画面上の演出が弱い。

また最終作にしては、前半部の語り部がお竜ではなく、中々出てこない。文太さんと松方がそこを担い、文太が一時消える事でお竜に焦点が中盤から当たり始める。主人公とヒロインが中々会わない訳です。(菅原文太がヒロインか(笑))

ストーリーとしては確かに丁寧に跡目争いを描いていくのだが、これが昭和残侠伝でも構わなく、所謂普通。藤純子のカムバックを心から願う東映からしたら、シリーズを終わらせてしまう内容や大団円は避けたかったからだろう。(関東緋桜一家はそう言う意味で諦めた内容…)

ただ…今までシリーズを支えたおたかさんや熊虎親分はきちんと出てくる辺りはそれらしい。ただ待田狂介の扱いは…。この方シリーズ通して役は違えどお竜の味方だったんですが…今作は松川役で敵方に…。でもあの峰打ちをやりたかったんだなと納得。華を持たせてますね。

ヒロインじゃなかった(笑)助っ人役かつ相手役に菅原文太。やはり前前作、お竜参上のイメージのまま出演。お竜を女として見てる台詞が不器用で粋で優しく、文太さんのカッコ良さが味わえますね。仁義なき戦いよりこっちの文太さんの方が好きかもしれない。

熊虎親分こと若山富三郎、藤純子、菅原文太で殴りこむラストは中々迫力あって良い部分もありますが…ラストはうーん…シリーズ最終作としては…でしょうね。悲しいし、いつも通りだし…。

このシリーズ、藤純子様の可憐さ、艶やかさ、そしてアクションと名監督が彼女の魅力を打ち出し、見事にしあげてきていて東映任侠路線の中でも出色の出来であることは間違いありません。男女区別なく楽しめる娯楽作品です。今作はフォロワーさんが誰一人見てないのでシリーズ全体としては押します。是非見てほしいですね。
滝和也

滝和也