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竜二のkazu1961のレビュー・感想・評価

竜二(1983年製作の映画)
4.4
▪️Title :「竜二」
Original Title :※※※
▪️Release Date:1983/10/29
▪️Production Country: 日本
🏆Main Awards :
第7回日本アカデミー賞:新人俳優賞 1984年
第26回ブルーリボン賞:新人賞 1983年
▪️Appreciation Record :2020-035 再鑑賞
▪️My Review
たった一作の映画で伝説になった金子政次。
当時、多くの人たちに影響を与えました。
深作欣二がメガホンを取った「仁義なき戦い」は、本物のヤクザだった美能幸三の手記を元にして、実際の抗争事件を描いたものです。これら、70年代のヤクザ映画を代表する「実録物」とよばれるシリーズは、興行的に大ヒットとなり、派生作品を含めると膨大な数の作品を世に生み出してきました。そして、80年代に入ってヤクザ映画の流れをガラリと変えたのが本作「竜二」です。時代劇テイストが残る任侠モノから、リアル主義に徹した実録物。そして次世代のヤクザ映画というジャンルの描き方を導いたのは間違いなく「竜二」なんですね。"正統派任侠映画"とも"実録"とも違う、等身大のやくざの姿を描いた本作は、「ホームドラマ調ヤクザ映画」「ニューファミリー世代のヤクザ映画」などとマスメディアが評しました。
竜二で主演、脚本を担当した金子正次はこの作品だけではなく、没後に映画化された柴田恭兵主演の「チ・ン・ピ・ラ(1984)」、陣内孝則主演の「ちょうちん(1987)」そして、哀川翔主演の「獅子王たちの夏(1991)」の脚本を書いています。これら作品群の特徴は任侠モノでも実録物でもない、どこかスタイリッシュでクールでそれと少しのユーモアが含まれた今までとは違う、新たなヤクザ映画の描き方をしていますよね。
「竜二」この主演・脚本の金子政次は、「竜二」に命を注ぎ込んだように公開からわずか1週間後に亡くなりました。1983年に自主制作ながら全国公開を成し遂げましたが、このときに尽力したのが親友松田優作でしま。すでにスターだった松田優作の根回しもあったおかげで自主制作映画というハンデを乗り越えて、1983年10月29日に封切りされたんですね。
そして、無事封切りされたことを確認したこの日、病に冒された金子正次は入院しました。そして7日後の11月6日。胃がんによって永眠。33才の若さでした。映画の中に出てくる娘役の「あや」は、金子のまだ幼い実の娘です。ほんと切ないですよね。ラストシーンでも胸がいっぱいになります。
必死に心臓マッサージを続ける医者に「金子を逝かせてやってくれ」と涙を流して止めたのは松田優作だったというエピソードもあります。そして7年後の同じ日に松田優作もやはり癌で亡くなることになるんですね。。。
あと、金子政次の喋り方やショーケンの唄が長渕剛に大きな影響を与えたことでも有名ですね。
売れない役者だった金子正次は「竜二」によって一躍スターになりましたが、その短い生涯を燃やし尽くしてしまったので彼の演じる作品は他に存在しません。だからこそ「竜二」には金子正次の魂が今でも宿っていて心を揺さぶられる至玉の名作となっているんですね。「竜二」は人間「金子正次」が見事に表現されていて記憶に残る映画ですね。ずっと大好きな作品です!!

▪️Overview
暴力シーンを伴わないヤクザ映画として高く評価され、湯布院映画祭でのプレミア試写で喝采を浴び、1983年10月29日から全国で公開され大ヒットを記録した。
青春時代が過ぎ、金と出世欲だけで動くのにうとましくなって堅気になったやくざの姿を描く。脚本の鈴木明夫は本作品で主演している金子正次のペンネームである(彼は『竜二』公開直後、ガン性腹まく炎のため死亡)。監督はこれが第二回作品の川島透、撮影は川越道彦が担当。主題歌は、萩原健一(「ララバイ」)。
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