未島夏

コラテラルの未島夏のネタバレレビュー・内容・結末

コラテラル(2004年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「娯楽性を主張性へと変換する脚本の制球力」



本作ではタクシー運転手と殺し屋の関係を一から構築する為に相応の設定が施される。
だが実は、その設定は全て後に取り払われる事を前提として存在する。

例えば、物語を展開させる為の枷として、マックスはヴィンセントから「逃れられない」状況である様に設定される。
しかし後半にマックスが車を加速し横転させる事によって、実際はマックスに覚悟さえあればいつでも状況を打破出来ていた事が示される。

物語を盛り上げる為に用意された設定が、目標に本気になれず12年間もタクシー運転手を続けていたマックスに欠けていた「覚悟」を獲得する為のトリガーへと変貌する。

設定をひっくり返す事で作品にメッセージ性を付与する、脚本の妙技である。
未島夏

未島夏